中国の生成AI企業DeepSeekは2026年7月31日、大規模言語モデル「DeepSeek-V4-Flash-0731」の公式リリース(パブリックβ)を開始した。同社の公式発表によれば、モデルの構造は4月公開のPreview版と同一(総パラメータ284B、アクティブ13Bの混合エキスパート方式)で、追加の学習後処理でコーディングとエージェント能力を大幅に強化したという。

米技術メディアMarkTechPostによると、同社は旗艦モデル「V4-Pro」がプレビュー段階にとどまるなか、小型モデルを先に公式化する形をとった。第三者評価機関Artificial Analysisの総合指標では上位の海外モデルに引き続き及ばないものの、価格は下位帯並みに抑えられている。

Terminal Benchは82.7に上昇、旗艦モデル並みのエージェント性能

DeepSeekの公式発表では、エージェント特化ベンチマークで大幅な改善が示された。

  • Terminal Bench 2.1: 82.7(Previewの61.8から+20.9)
  • DeepSWE: 54.4(Previewの7.3から+47.1)
  • NL2Repo: 54.2(Previewの39.4から+14.8)
  • Cybergym: 76.7、Toolathlon: 70.3

同社によれば、V4-Flash-0731は上記の主要エージェント指標すべてで、旗艦の「V4-Pro Preview」を上回った。実現手段は追加の学習後処理のみで、モデル構造や学習データの入れ替えは行っていないとしている。

一方、米技術メディアMarkTechPostが整理した比較表では、9項目のうちすべてでClaude Opus 4.8を下回った。Terminal Benchでは82.7対85.0と僅差だが、コード生成のNL2Repoでは54.2対69.7と差が広がっている。

出力価格は旗艦の3分の1、並列2500リクエストで小型モデルを前面に

料金は百万トークンあたり入力0.14ドル、出力0.28ドル、キャッシュヒット時の入力0.0028ドルで据え置きとなった。同社の料金体系ではV4-Proの出力0.87ドルの約3分の1にあたる。

米AI情報サイトDigitalAppliedによれば、API並列上限は2500リクエストで、旗艦V4-Proの500に対して5倍の余裕がある。DeepSeekはOpenAI互換の応答形式への対応と、コーディング支援ツール向けのアダプタ追加もあわせて発表した。

米AI情報サイトOfficeChaiの比較によれば、出力価格はAnthropicやOpenAIの主要モデルを引き続き大きく下回っている。ただし北京の営業時間帯には全料金を倍にする「ピーク料金」の導入が予告されており、実施日は7月31日時点で未定だ。

上位モデルへの接近は明確、ただし自己申告ベンチと冗長性が焦点

前向き材料と注意点はほぼ拮抗する。エージェント能力の急伸と価格優位は明確だが、性能値の信頼性と実運用コストの評価はこれからだ。

第三者評価機関Artificial Analysisは、DeepSeek-V4-Flash-0731を「非常に冗長」と評しており、同じタスクを解く際の出力トークン量は他社中央値の3.4倍に達する。0.28ドルの出力単価だけで比較すると割安に見えても、実務では出力量が増えるため、実質的な単価が上がる可能性がある。

さらに、公式にアナウンスされたMITライセンスの重みは、7月31日時点でHugging Faceに「0731」サフィックス付きリポジトリが確認されていない。米AI情報サイトOfficeChaiは「独立評価機関が独自の数値を出すまで、V4-Flash-0731の実力を断定するのは難しい」と指摘している。

今後の展望

今回の公式化が本当に上位モデルの牙城を切り崩すかは、次の3点で見えてくる。

  • Artificial Analysisや大手ベンチマーク運営がV4-Flash-0731を独自条件で再計測した結果。
  • Hugging Faceでの「0731」重みの公開時期と、既存Preview重みからの差分の透明性。
  • 旗艦V4-Proの公式リリース時期、およびDeepSeekの料金体系(特にピーク料金)の実施状況。

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