マイクロン・テクノロジーは9月30日、SEC Form 8-Kで2026会計年度(2025年9月〜2026年8月)第4四半期決算を公表し、売上は542億ドル、調整後EPS(1株利益)は33.42ドルで、いずれも会社ガイダンスと市場予想を上回り過去最高となった。同社の決算プレスリリースによると、調整後粗利率は87.0%で、AI向けメモリ需要が全セグメントの売上を押し上げた。

市場予想(FactSet集計)は売上513億ドル・調整後EPS 31.72ドルで、売上で5.6%、1株利益で5.4%の上振れとなった。前四半期(5月期)の売上は414億ドルで、わずか1四半期で31%増加している。報道各社によると、9月30日終値は1,065.11ドル、決算発表後の時間外取引の反応は小幅に留まった。

画像: Wikimedia Commons / Thingreenline4546 / CC BY-SA 4.0 | 出典。写真は2023年11月撮影の既存施設外観で、同社のメモリ製造拠点を象徴する素材として用いている。

売上は過去最高、データセンター比率は約63%まで上昇

同社のSEC Form 8-K決算プレスリリースによると、第4四半期のセグメント別売上は次のとおりで、データセンター関連が合計約63%を占めた。

  • クラウドメモリー: 162.8億ドル
  • コアデータセンター: 180.0億ドル
  • モバイル・クライアント: 131.1億ドル
  • オートモーティブ・組込み: 68.2億ドル

同社の決算プレスリリースに添えられたCEOのサンジェイ・メロトラ氏(Sanjay Mehrotra)声明は「2026年度は記録的な年となり、2027年度はさらに強い成長を見込む」と述べ、AI向けメモリの需要が供給制約下で続くとの見方を示した。

Indmoneyの集計によると、第4四半期は主記憶メモリ(DRAM)売上が398億ドル・前四半期比27%増、不揮発性メモリ(NAND)売上が141億ドル・同42%増だった。両製品とも出荷量よりも価格上昇が成長の主役で、価格は前者で10%台後半、後者で約30%上昇したという。

AIアクセラレータ向けの高帯域メモリ(HBM)売上は全社平均を上回って伸び、同社は2027年分の出荷の大半を既に顧客契約で確保済みだと説明している。

ガイダンスは強気、ただし2027年度設備投資は500億ドル超

同社が示した2027年8月期第1四半期ガイダンスは、売上615億ドル(±15億ドル)、調整後EPS 38.15ドル(±1.00ドル)、調整後粗利率約86.25%で、いずれも市場予想を上回る。Alphastreetの集計した事前の1株利益コンセンサスは35.14ドルで、ガイダンスはこれを8%強上回る水準だった。

一方、CFOのマーク・マーフィー氏(Mark Murphy)は決算説明会で、2027年度の設備投資を約500億ドル以上に拡大すると説明した。これは2026年度の調整後フリーキャッシュフロー623.1億ドルに対して約8割に相当する規模だ。

設備投資の内訳は、HBM4、1c世代DRAM、ハイパースケーラー向けデータセンターSSDの供給拡大が中心となる。Indmoneyは、設備投資増加に伴い2027年度のフリーキャッシュフローを2026年度並みに保つにはキャッシュ創出力を25%引き上げる必要があると指摘した。

戦略契約で収益見通しは改善、注意点は価格持続性と顧客集中

好材料として、同社は長期顧客契約(SCA)数を2026年6月時点の16社から9月時点で26社まで拡大し、2030年までの残存履行義務(RPO)は約1,500億ドルに達する。約75%の契約には価格の上限・下限が設定されており、2030年までの売上の35%超に相当するという。CEOのメロトラ氏は、メモリ供給の逼迫が2027〜2028年にかけて継続するとの見方を強調した。

注意点として、業界調査会社の集計では、高帯域メモリ(HBM)市場シェアはSKハイニックス(SK Hynix)が過半、サムスン(Samsung)と同社が各4分の1前後にとどまる。ハイパースケーラー向け需要の集中度は依然として高い水準にある。

Indmoneyによると、Jefferiesのトレーディングデスクは、機関投資家の非公式な調整後EPSベンチマークが2027年8月期第1四半期で約37ドル付近に置かれており、実際のガイダンス38.15ドルは3%程度の上振れに留まったと指摘した。これが決算発表後の株価反応が限定的だった主な理由とされている。

今後の展望

次に見るべき指標は、まず2027年1月前後に予定される2027年8月期第1四半期の実績で、ガイダンス615億ドル(±15億ドル)の達成度と粗利率の実際の推移が市場の最大の関心となる。設備投資500億ドル超の執行ペースと、2027年分の高帯域メモリ契約の価格条件がどこまで維持されるかも、価格主導の成長が続くかを測る指標になる。

もう一点は、2030年までの長期契約1,500億ドルの中身で、価格フロア・シーリング付きの割合や、競合メーカーの供給拡大との兼ね合いが、価格持続性のシナリオを左右する。AIデータセンター投資サイクル全体の強度が、同社を含む半導体メモリ各社の次四半期以降の実需を規定することになるため、ハイパースケーラーの設備投資計画や次回決算の受注動向が最も見るべき外部指標になる。

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