日本銀行は9月18日、金融政策決定会合で政策金利を0.25%引き上げて1.25%にすることを7対2の賛成多数で決定した。日銀の発表によると、新金利は9月24日から適用され、6月会合の1.0%への利上げから3カ月ぶりの追加措置となる。原油高と円安による物価上振れリスクを抑える「予防的利上げ」との位置づけで、政策金利が0.5%を超えるのは1995年4月以来、約31年ぶりの水準に達した。

ただし、市場は今回の決定を「ハト派利上げ」と受け止めた。日本経済新聞によると、外国為替市場ではドル円が一時158円台まで円安が進み、日経平均株価も前日比837円高の6万6318円台まで上昇した。市場では2027年前半までに1.75%程度への利上げ路線が既に織り込まれており、審議委員2名の反対票と植田総裁の発言姿勢が慎重寄りと解釈された。

画像: Wikimedia Commonsより引用 | File:Bank of Japan 2010.jpg(Wiiii, CC BY-SA 3.0)

分裂投票と植田総裁発言、市場は「ハト派利上げ」と解釈

反対票を投じたのは審議委員2名で、利上げペースへの慎重論を示した。日経は「反対2票」で円が売られたと伝えており、賛成7・反対2の分裂投票が事前想定より弱いタカ派シグナルと受け止められた。

植田和男総裁は記者会見で「金融政策は新たな局面に入った」と表明した。SMBC日興証券のチーフ為替ストラテジストの鈴木裕氏は、0.25%利上げ自体は織り込み済みだったが、投資家が「利上げペースの減速」を懸念したことで円売りが出たとコメントしている。

一方で、植田総裁は連続利上げや0.50%の一回利上げも排除しない姿勢を示した。決定内容の解釈は「予防的利上げ」寄りだったが、次回以降の会合次第で軌道修正の余地は残る。

追加利上げ路線は堅持、次は12月会合の1.5%が焦点

大和総研のチーフエコノミスト神田慶司氏らのレポートは、日銀が12月会合で1.5%、2027年1〜3月期に1.75%まで引き上げた後、経済・物価・金融情勢への影響を見極めるため当面据え置く見通しを示した。

前提が変わる点も多い。日米金利差の縮小ペース、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ動向、中東情勢と原油価格、円相場の水準がそれぞれ日銀の判断材料に組み込まれる。

野村證券のチーフエコノミスト森田京平氏は9月利上げをメインシナリオに変更したうえで、年内2回利上げのリスクシナリオも指摘していた。今回の決定はメインシナリオ通りだが、年内追加利上げの是非は12月まで持ち越される。

物価は「ねじれ」続く、企業物価+7.6%とCPI1.8%の乖離が政策判断に影

物価データはコアCPI(生鮮食品を除く)が7月に前年比+1.8%と2%目標に近い水準で推移する一方、企業物価指数は8月に+7.6%と3カ月連続で7%を超える高水準にある。上流の投入価格が消費者物価へ全面転嫁されていない状態が続く。

上流の高騰は円安と原油高が主因で、輸入物価は前年比+24.8%(円ベース)に達したと日経が伝えている。円安がさらに進めば、企業物価から消費者物価への波及が再加速する経路が意識されやすい。

今回の利上げは、この波及リスクを事前に抑える狙いが強い。ただ、市場の「ハト派利上げ」解釈で円安が進めば、日銀が意図した予防効果が限定される可能性がある。

今後の展望

次に見るべき点は、12月会合での再利上げの有無、10月末に発表される9月全国CPIの推移、そして為替市場でドル円が160円方向に戻すかの3点だ。

日銀は「基調的な物価上昇率が2%に近づけば政策金利をさらに引き上げる」姿勢を維持している。政策金利1.25%は、当面の到達点ではなく、経済・物価情勢に応じた通過点として位置づけられている。

家計への影響も注視される。大和総研の試算では、金利水準の全般的な引き上げにより家計全体では預金利息の増加が見込まれる一方、住宅ローンを抱える現役世代では利払い負担の増加が上回る可能性が示された。消費への波及効果は世帯構成によって分かれる形になる。

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