Google DeepMindは2026年9月30日、新主力モデル「Gemini 4 Argon」を発表した。出力トークン上限を従来の6万4,000から100万へ拡張し、公表した18項目のベンチマークのうち13項目で競合2社の最新モデルを上回ったと自己申告した。導入価格は入力100万トークンあたり2ドル、出力100万トークンあたり10ドル。
これらの性能値はいずれもGoogle側の自己申告であり、第三者による独立検証はこれからだ。提供範囲も当面は信頼できるテスター層と、サイバー防衛向けの「Fairwind」プログラムに限られ、一般の有料契約者や消費者向け上位プランへの展開時期は示されていない。独立評価機関のArtificial Analysisは9月30日時点で、Googleを競合と並ぶ首位3ラボの1社に戻したと暫定評価した。
旧モデルから出力は約16倍、価格は半額〜5分の1に
Google DeepMindは公式Xアカウントで、Gemini 4 Argonについて「複雑なワークフロー、実世界のソフトウェア開発、ナレッジワーク、サイバー防衛で業界最先端の100万トークン出力に対応する」と表明した。従来モデルの出力上限は6万4,000トークンで、今回の拡張は約16倍にあたる。
VentureBeatによると、入力100万トークン2ドル・出力10ドルの導入価格は、OpenAIの最新モデルの表示価格10ドル/50ドルの5分の1、Anthropicの最新モデルの4ドル/20ドルの半額にあたる。導入期間終了後は、入力4ドル・出力20ドルに移行する。
キャッシュ入力は入力価格から95%割引され、導入期間中は100万トークンあたり0.10ドルとなる。長文の仕様書や判例など、同一文脈を繰り返し参照するワークロードでは実効単価が大きく下がる設計だ。
自己申告ベンチマークでは競合2社を上回る、独立検証はこれから
Googleが公表した18項目のベンチマーク一覧では、Argonが13項目で単独首位または首位タイに立ったとされる。コードベンチマークのDeepSWE v1.1で77.9%を記録し、競合2社の74.2%および74.1%を上回った。法務エージェント向け指標でも19.6%で、競合2社の5.4%、3.8%に大差をつけたと説明している。
一方、これらの数値はGoogle側の発表資料に基づく自己申告であり、独立評価機関による検証は進行中だ。VentureBeatは「Googleは独立検証を公表していない」として、再現評価が揃うまでは暫定評価として扱うべきだと指摘した。
独立評価機関のArtificial Analysisは自社の総合知能指数で53と測定し、Googleが競合2社と並ぶ首位3ラボへ戻ったとコメントした。ただし同社は、Argonの出力トークン量が同クラス中央値の8,200万に対し1億1,000万と多く、他モデルより冗長性が高い点も検証中の論点に挙げている。
サイバー防衛と法務・金融を主用途に、提供範囲は段階的
Google DeepMindは、Argonを「長時間のソフトウェア工学、法務・金融分野のエンタープライズナレッジワーク、サイバー防衛」の3領域に照準を定めたと説明している。導入先は、同社の「Fairwind」プログラム経由で信頼できるサイバー防衛者と、米政府の自主的な事前アクセスプロセスを対象とする。有料開発者向けおよび消費者向け上位プランへの拡大は「近日中に開始」とされ、具体的な日付は示されていない。
一方、競争環境としては、Googleと競合1社が入力100万トークン2ドル・出力10ドルの導入価格で揃った点が注目される。経済メディアForkastは9月30日の分析で、両社の価格一致を「フロンティア帯の価格床到達」と位置づけ、別の競合は高価格路線を維持してエンタープライズ向けに特化していると指摘した。親会社のアルファベット株は発表後、約1%上昇と限定的な反応にとどまった。
今後の展望
次に見るべき点は、独立評価機関による主要コードおよびサイバー防衛指標の再現検証、消費者向け上位プランと有料開発者向けの一般提供日、そしてフロンティア帯の価格競争が有料ユーザーへどこまで波及するかの3点だ。性能値は自己申告ベースにとどまるため、第三者ベンチマーク結果が出るまでは「主要指標の首位奪還」という評価も暫定的に扱う必要がある。
価格面では、Googleの導入期間終了後の正規料金が入力100万トークン4ドル・出力20ドルに戻る点も、長期的な価格競争力を見るうえでの焦点となる。限定提供から一般提供へ移行するタイミングで、「Fairwind」参加企業や米政府機関からの初期フィードバックが公開されるかも注視点となる。
出典:
- Google unveils Gemini 4 Argon, retaking benchmark lead over OpenAI and Anthropic — but in limited release — VentureBeat
- Google announces Gemini 4 Argon as its new frontier model — 9to5Google
- Gemini 4 Argon (high) - Intelligence, Performance & Price Analysis — Artificial Analysis
- Google's Gemini 4 Argon Closes the Pricing Triangle. The Benchmark Lead Is the Real Story. — Forkast
