Metaは2026年5月27日、AIサービスの有料サブスクリプション「Meta One」のテスト開始を発表した。AI向けは月7.99ドルと月19.99ドルの2層で、来月からシンガポール、グアテマラ、ボリビアの3カ国で試験提供する。
ただし、これは広告以外の収益源を探る初期の試みにとどまる。同社の2026年1-3月期売上563億ドルはほぼ全額が広告で、報道で約10億人とされるMeta AIの利用者をどれだけ課金へ転換できるかは未知数だ。
月7.99ドルは競合を下回る、上位プランは横並び
Metaの発表によると、有料層では画像生成、動画作成、拡張推論(thinking mode)の利用枠が広がる。無料層ではこれらに上限が設けられる。
価格は競合を強く意識している。上位プラン(月19.99ドル)は、ChatGPT Plus(月20ドル)やGoogle AI Pro(月19.99ドル)とほぼ同額だ。
一方、月7.99ドルの下位プランは両者を半額以下で下回る。広告外の入り口を低価格で広げる狙いがうかがえる。
製品責任者のナオミ・グレイト氏(Naomi Gleit)はInstagram動画で、有料層は「より大きく複雑な要求に対応し、創作の余地を広げる」と説明した。
広告外収益への転換は始動、巨額投資の回収が課題
課金に動く背景には、AIインフラ投資の急拡大がある。同社は2026年の設備投資見通しを1250億〜1450億ドルに上方修正した。前回示した1150億〜1350億ドルからの引き上げだ。
Bloombergの報道では、サブスクは広告偏重の収益構造を補う狙いがある。ただし、テストはまず3カ国に限られ、無料層も維持される。
課金がどこまで広がるかは現時点で確認できない。投資負担は人員にも及び、同社は5月、AIインフラへの資金集中を理由に約8000人の削減を進めると報じられた。
広告依存からの多角化、収益化競争が業界全体に
今回の動きが重要なのは、広告に依存してきた大手プラットフォームが、AIを直接の課金対象に変えようとしているためだ。
生成AIの収益化では、OpenAIやGoogleなどの競合が月20ドル前後の有料プランを先行させてきた。Metaは約10億人の既存利用者を抱える点で出発点が異なる。
ただし、無料で使えるAIに課金文化を根づかせられるかは別の問題だ。低価格の下位プランが利用者を引き寄せるか、それとも無料層で十分とみなされるかは、テストの結果を待つ必要がある。
今後の展望
速報段階で確認できるのは、テストの開始と価格までだ。次に見るべき点は3つに絞られる。
- テスト対象国の拡大時期と、無料層・有料層の機能差
- 有料転換の実績。次回以降の決算でAI関連収益がどう開示されるか
- 競合プランの価格・機能の反応
巨額のAI投資を広告以外でどこまで回収できるかは、これらの指標が見えてから判断できる。
出典:
- Meta to start testing AI subscription services, with cheapest plan at $7.99 a month(CNBC)
- Meta Launches AI Chatbot Subscriptions to Boost Revenue Beyond Ads(Bloomberg)
- Meta officially launches Instagram, Facebook, and WhatsApp subscriptions, with more to come, including AI plans(TechCrunch)
- Meta launches AI chatbot subscriptions at $7.99 and $19.99(The Next Web)
