この記事でわかること

- 主要4選択肢(Glean・Microsoft 365 Copilot・Notion AI・自社構築RAG)の立ち位置
- 料金・連携範囲・データ条件の違い
- 業務・部門別の選び方
- 中小・中堅企業が導入前に確認すべきデータ・セキュリティ項目
- 選定判断を業務設計とデータ基盤に接続する視点
※本記事は2026年8月11日時点の公表情報を基にまとめています。料金・提供範囲・機能は変更されるため、導入前に各社公式サイトで最新条件を確認してください。
結論サマリー:連携範囲とデータ主権で分ける
4つの選択肢は連携範囲と自社データの扱いで大きく違います。

全社1本に絞る前に、業務領域ごとに第一候補を分ける設計が現実的です。
| 用途 |
第一候補 |
理由 |
注意点 |
| 全社横断ナレッジ検索 |
Glean |
100以上のSaaSを横断し権限継承が強い |
100席規模・年間契約が前提 |
| Microsoft中心の業務 |
Microsoft 365 Copilot |
Word・Excel・Teamsに深く統合 |
Microsoft外SaaSの検索は弱い |
| ドキュメント・議事録中心 |
Notion AI |
業務ドキュメントとAgent実行が同居 |
基幹データ・全社統合は限定的 |
| 機密データ・独自制御 |
自社構築RAG |
データ主権と細かい設計ができる |
評価・監視・改善に人員が必要 |
基本説明:エンタープライズAI検索とは何か
エンタープライズAI検索は、社内の複数SaaSやファイルをAIが横断し、質問に対して要約と出典を返す仕組みです。
従来の全文検索と違い、権限継承・意図理解・要約・根拠提示までを含みます。
| 用語 |
意味 |
| コネクタ |
SaaSやオンプレシステムと接続する仕組み |
| 権限継承 |
元システムのアクセス権をAI検索でも守る仕組み |
| RAG |
社内文書を検索し、その内容を根拠にAIが回答する方式 |
| Agent |
AIが複数手順を自動で実行する動作 |
| データ主権 |
自社データが誰の環境で保存・処理されるかの管理 |
主要プラットフォームの比較
4つの選択肢を、一言でいうと・得意な用途・注意点で整理します。

| プラットフォーム |
一言でいうと |
得意な用途 |
注意点 |
| Glean |
100超のSaaSを束ねる専業AI検索 |
全社横断ナレッジ、権限継承、部門横断調査 |
100席・年間契約からの本格導入が前提 |
| Microsoft 365 Copilot |
Microsoft業務に埋め込むAIアシスタント |
Word・Excel・Teams・Outlookの生成支援 |
Salesforce・Slackなど外部SaaS検索は弱い |
| Notion AI |
ドキュメントとAgentが同居する基盤 |
議事録、社内Wiki、資料作成、Ask Notion |
基幹データ・大量ファイル統合は限定的 |
| 自社構築RAG |
目的とデータに合わせて設計する内製検索 |
機密領域、独自スキーマ、業務特化ワークフロー |
評価・運用・改善に継続的な人員が必要 |
Glean
- 一言でいうと: 100以上のSaaSを横断する専業のAIナレッジプラットフォーム
- 得意なこと: Google Drive、Slack、Confluence、Jira、Salesforce、GitHubをコネクタで束ね、権限継承付きで検索できる
- 苦手または注意すべきこと: 契約は100席規模・年間コミット中心で、TCOは数千万円規模になり得る
- 向く企業: 全社ナレッジをAIで束ねたい中堅・大企業、SaaSが多い組織
Microsoft 365 Copilot
- 一言でいうと: Microsoft 365内に深く統合されたAIアシスタント
- 得意なこと: Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teamsでの下書き、要約、会議支援
- 苦手または注意すべきこと: Microsoft外SaaSの検索と回答は基本的にカバーしない
- 向く企業: 業務の中心がMicrosoft 365上にある組織、Teams・Outlook利用率が高い企業
Notion AI
- 一言でいうと: ドキュメント・Wiki・データベースとAI Agentが同居する運用基盤
- 得意なこと: 議事録、社内Wiki、資料の下書き、Ask Notionによる社内問い合わせ
- 苦手または注意すべきこと: 基幹システムや大量ファイルサーバの横断検索は範囲が限られる
- 向く企業: ドキュメントとWikiをNotionに集約している企業、スタートアップ・中小企業
自社構築RAG
- 一言でいうと: 目的とデータに合わせて設計する内製の検索・回答システム
- 得意なこと: 機密データを社内環境で扱う、独自スキーマや業務固有ワークフローに合わせる
- 苦手または注意すべきこと: モデル選定・評価・監視・改善に継続的な運用体制が必要
- 向く企業: 規制業種、独自データが競争力の企業、既存クラウド資産を活かしたい組織
料金・利用条件の比較
料金は公表情報ベースの目安です。実勢は契約規模・席数・割引で変わります。
| 選択肢 |
料金の目安 |
契約単位 |
データ・学習条件 |
| Glean |
1ユーザー月額50〜75ドル、100席規模から |
年間契約、Enterprise FlexでAI利用を従量化 |
契約で学習利用を制御、権限継承あり |
| Microsoft 365 Copilot |
月額30ドル+基盤M365ライセンス(E3+Copilot合計約66ドル/月) |
年間契約、ライセンス数量割引あり |
業務データはテナント内、既定で学習に非利用 |
| Notion AI |
Business月額20ドル/席、Enterpriseは個別見積 |
月額または年額 |
Enterpriseはゼロデータ保持AI、SCIM、監査ログ |
| 自社構築RAG |
LLM API・ベクトルDB・運用人件費で変動 |
自社インフラ+API従量 |
自社契約と実装で設計・確認できる |
総コストで見るときの視点
- Glean: ライセンス+コネクタ運用+管理体制で年間数千万円台になり得る
- Microsoft 365 Copilot: 既存M365契約とセットで総額を見直す必要がある
- Notion AI: Notion利用が広がっていないと基幹検索の代替にはならない
- 自社構築RAG: 初期構築費に加え、評価・監視・改善の継続人件費が主コスト
用途別の選び方
業務目的別に、最初に試す1つを整理します。

全社横断のナレッジ検索を優先したい
Gleanが第一候補です。多SaaS対応、権限継承、要約と出典表示が本業として設計されています。
100席以上・年間契約が前提のため、PoCでは対象部門と対象データを絞ることを推奨します。
Microsoft中心の業務を効率化したい
Microsoft 365 Copilotが第一候補です。Word・Excel・Teams・Outlookに埋め込まれた作業効率化が強みです。
外部SaaS検索や独自データ活用は、別途RAG構築の検討が必要です。
議事録・社内Wiki・資料作成を強化したい
Notion AIが第一候補です。ドキュメント作業とAgent実行が同じ基盤にあり、Ask Notionで社内問い合わせを一元化できます。
大量の社内ファイルや基幹データ統合には、別プラットフォームや自社構築RAGとの併用が必要です。
機密データ・規制業種で独自制御したい
自社構築RAGが第一候補です。モデル選定・データ保持・権限・監査ログを自社で設計できます。
評価と改善に継続的な運用体制を用意することが前提になります。
〖確認ポイント〗企業導入で注意すべき点
技術評価だけでなく、契約・データ・運用の観点も確認します。
- データ利用条件: 学習利用の有無、データ保持期間、削除ポリシーを契約で確認する
- 権限継承: 元システムの権限がAI検索側でも守られる仕組みかを確認する
- 監査ログ: 誰が何を検索・回答させたかの記録が取れるかを確認する
- データ主権: 保存・処理の地理的範囲、テナント分離、暗号化方式を確認する
- 総所有コスト: ライセンスに加えコネクタ運用、管理者、社内教育も見積もる
- 定着率: PoCで対象部門・業務を絞り、月次利用率を測る指標を最初に決める
注意
エンタープライズAI検索は契約条件・実装条件でデータ利用と権限の扱いが変わります。「絶対に漏洩しない」「規制に必ず適合する」と断定せず、契約書と公式ドキュメントで確認してください。
Blackfordの見解:連携範囲より先に「対象業務とデータ」を決める
Blackford Technologiesは、エンタープライズAI検索を「どのSaaSと繋げるか」ではなく「どの業務のどの意思決定を、どのデータで支えるか」から設計することを推奨します。
先に業務課題とデータ範囲を確定し、そこから連携範囲と製品を選ぶことで、契約後の定着リスクを減らせます。

導入判断で整理する観点は次の5点です。
- 業務課題: 何の質問に、誰が、いつ答えを得たいか
- 扱うデータ: 機密度、更新頻度、権限体系、保持期間
- 既存基盤: Microsoft 365、Google Workspace、SaaS、オンプレの構成
- セキュリティ要件: データ主権、監査ログ、テナント分離
- 定着設計: 部門別PoC、評価指標、社内教育、運用担当
DataRoidは、社内文書・SaaS・基幹システムを統一データレイヤに束ね、AIが扱える形に整えるための社内設置型AIデータ基盤です。
既存クラウド資産を活かして段階導入したい場合はDataRoid Cloud、Microsoft中心業務ではCopilotとの併用を、それぞれ選択肢として整理します。
\社内AI検索の設計を相談できます/
Blackfordに相談する
よくある質問
GleanとMicrosoft 365 Copilotはどちらを選ぶべきですか?
社内の業務範囲で判断します。SaaSが多く全社横断で検索したい場合はGlean、業務中心がMicrosoft 365上にありOffice内作業を効率化したい場合はCopilotが第一候補です。両方を業務領域ごとに使い分ける企業も増えています。
Notion AIは大企業でも使えますか?
議事録・Wiki・資料作業の基盤としては使えます。ただし基幹システムや大量ファイルサーバを横断する社内検索の代替には限界があり、他プラットフォームや自社構築RAGとの組み合わせで補うことが多いです。
自社構築RAGとGleanでは、どちらが安くつきますか?
規模と目的で変わります。100席規模で全社横断の一般ナレッジ検索が目的ならGlean、機密データや業務特化ワークフローが中心なら自社構築RAGが合理的になる場合が多いです。運用人件費とライセンスの両面で試算が必要です。
AIが答えた内容の根拠は確認できますか?
主要プラットフォームは出典リンクや参照ファイルを回答に付ける機能を持ちます。ただし精度は利用データの整理度に左右されるため、導入初期は評価データセットで正答率と出典妥当性を測ることを推奨します。
まとめ
エンタープライズAI検索は、SaaS連携・Microsoft統合・ドキュメント運用・独自設計のどれで進めるかで、必要な体制と費用が大きく変わります。
全社1本に絞る前に、業務領域ごとに第一候補を分けたうえでPoCを始めるのが現実的です。
自社での選定に迷う場合は、業務課題・扱うデータ・既存基盤・運用体制を整理したうえで、専門家に相談することを推奨します。
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