【2026年】IT導入補助金とデジタル化・AI導入補助金は何が違うか — 再申請の賃上げ要件とAI機能搭載ツールの確認ポイント

【2026年】IT導入補助金とデジタル化・AI導入補助金は何が違うか — 再申請の賃上げ要件とAI機能搭載ツールの確認ポイント

過去にIT導入補助金を活用した中小企業や、2026年に初めて申請を検討する中堅企業にとって、制度が「デジタル化・AI導入補助金」へ刷新されたことは無視できない変更です。IT専任者が少なく予算配分も限られる現場では、名称変更の背景と再申請時の要件、AI機能搭載ツールの扱いを早めに整理する必要があります。

複数の申請枠を段階的に活用しながらAI導入や業務データ活用を進めたい現場ほど、IT導入補助金との差分を整理しておかないと申請判断がぶれます。本記事では公式情報ベースで主な変更点、再申請時の賃上げ要件、AI機能搭載ツールの判別、対象外になりやすいケースを解説します。

この記事では、次の内容を整理します。

  • IT導入補助金からデジタル化・AI導入補助金へ変わった主な変更点
  • 通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠など5つの申請枠の位置づけ
  • 過去にIT導入補助金の交付を受けた事業者が再申請で押さえる賃上げ要件
  • AI機能搭載ツールの判別方法と、社内で整理すべきデータ・業務の確認事項
  • パソコン単体や汎用機器など、対象外になりやすいケース

デジタル化・AI導入補助金とは — IT導入補助金との関係

デジタル化・AI導入補助金は、IT導入補助金の名称と制度設計を令和7年度補正予算事業から見直した後継制度です。中小企業庁は2026年3月10日に「デジタル化・AI導入補助金2026」の公募要領を公開し、3月30日10時から登録申請の受付を始めました。

制度の目的は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上に向けて、AIを含むITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援することです。基本的な仕組みはIT導入補助金を引き継ぎつつ、名称に「AI」が明示され、AI機能を搭載したITツールが審査・公表のうえで識別される設計に変わりました。

公式情報源は中小企業庁の公募ページと、デジタル化・AI導入補助金事務局のポータルサイトです。スケジュール、対象経費、加点項目はいずれも事務局公式の公募要領PDFが最終的な根拠となります。

対象となる企業・対象外となる企業

補助対象事業者は、中小企業基本法上の中小企業・小規模事業者等です。資本金または従業員規模のいずれかが業種別の基準以下である必要があり、業種ごとの目安は次の通りです。

業種区分 中小企業の上限(資本金または従業員数のいずれか) 小規模事業者の従業員上限
製造業・建設業・運輸業その他 3億円または300名 20名以下
卸売業 1億円または100名 5名以下
小売業 5,000万円または50名 5名以下
サービス業 5,000万円または100名 5名以下

上表は中小企業基本法に基づく区分です。宿泊業・娯楽業など一部の業種は小規模事業者の従業員上限が20名以下となる例外があり、医療法人・社会福祉法人など補助金独自の範囲も公募要領で別途定義されます。詳細は中小企業庁の中小企業の定義ページと各申請枠の公募要領で必ず確認してください。

みなし大企業(同一の大企業が発行済株式の総数または出資価額の総額の2分の1以上を直接所有するなど、公募要領で定義された大企業に支配される企業)に該当する場合、形式上は中小企業でも対象外となることがあります。

申請の前提として、次の3点は枠を問わず共通する条件です。

  • GビズIDプライムアカウント(行政手続のログインに使う共通認証アカウント)の取得
  • SECURITY ACTION(IPAが提供する情報セキュリティ自己宣言制度)の宣言
  • IT導入支援事業者(事務局に登録された支援事業者)を介した申請

GビズIDの取得には事務処理期間が必要なため、申請スケジュールから逆算して早めに準備する必要があります。

IT導入補助金から変わった主な3つのポイント

2025年度までのIT導入補助金と比較したとき、2026年の主な変更点は次の3つに整理できます。

  1. 名称と制度メッセージの変更:単なるITツール導入支援から、AI活用を含むデジタル化・DXの推進へと打ち出しを変更しました。
  2. 再申請時の賃上げ要件の上乗せ:2022〜2025年度に交付決定を受けた事業者の再申請では、3年間の事業計画における賃上げ要件が上乗せされる設計が示されました。具体的な算定方法と未達時の取り扱いは公募要領の該当項目で必ず確認してください。
  3. AI機能搭載ツールの識別:ITツール検索ページでAI機能搭載ツールを絞り込めるようになり、IT導入支援事業者がAI機能を有するとして申請したツールが識別できます。新たな加点項目として「成長加速マッチングサービスへの登録」「省力化ナビの活用」も追加されました。

AI機能搭載ツールに該当することと、補助率や採択判定が直接的に優遇されることは別の論点です。加点項目との関係や採点比重は公募要領で明示されていない部分があるため、検索性が高まった点と加点項目の構成、そして賃上げ要件の上乗せを分けて理解する必要があります。

5つの申請枠の位置づけ

2026年の申請枠は、事務局公募要領で次の5つが公表されています。補助率と補助上限額の目安は各申請枠の公募要領PDFで確認できます。

申請枠 主な補助対象 検討の起点
通常枠 ソフトウェア、クラウド利用料、導入関連費 業務改善や生産性向上のITツール導入全般
インボイス枠(インボイス対応類型) 会計・受発注・決済ソフトとハードウェア 会計・受発注の整流化と紙からの脱却
インボイス枠(電子取引類型) クラウド型受発注ソフト等 電子取引対応の整備
セキュリティ対策推進枠 IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービス」等 サイバーセキュリティ対策の底上げ
複数者連携デジタル化・AI導入枠 複数事業者連携での導入 グループや業界連携でのデジタル化

補助率の上限が適用されるかは、最低賃金に近い事業者や小規模事業者などの条件で分岐します。補助率・補助上限・補助下限・対象経費の具体的な数値は、各申請枠の公募要領PDFで必ず確認してください。 各申請枠の交付申請期間は複数次に分かれ、交付決定日や事業実施期間も枠ごとに設定されます。最新の公募スケジュールは事務局公式のスケジュールページで確認することを推奨します。

なお、デジタル化・AI導入補助金2026を中小企業のAI投資設計の観点で整理した記事として活用観点と採択率向上のポイント適用対象とAI導入で押さえる5つの注意点も参考になります。本記事はIT導入補助金との差分整理と再申請時の確認ポイントに焦点を絞ります。

AI機能搭載ツールとは — 検索ページでの判別と社内整理の観点

ITツール検索でAI機能搭載と表示されるのは、IT導入支援事業者が当該ツールについて「AI機能を有する」として申請したものです。逆に、検索結果に表示されないツールはAI機能がないと断定できるわけではありません。検索の絞り込みは、申請設計の入口を整える参考情報として扱うほうが現実的です。

導入検討側の社内整理としては、ツール選定の前に次の3点を分けて確認しておくと判断のブレが減ります。

  • 削減または改善したい業務(例:請求書の入力、顧客対応の初動、在庫データの整合)
  • 利用するデータの所在(基幹システム、SaaSのログ、紙やExcelなど)
  • 導入後に運用する担当者と権限管理

AI機能の有無で枠を絞る前に、自社の業務とデータの状態を棚卸しすると、対象経費が広い通常枠を使うか、インボイス枠で会計・受発注の整流化を優先するかなど、申請枠の優先順位が見えてきます。

過去にIT導入補助金を活用した企業が再申請で押さえる賃上げ要件

2022〜2025年度にIT導入補助金の交付決定を受けた事業者は、2026年のデジタル化・AI導入補助金に再申請する際、3年間の事業計画における賃上げ要件が上乗せされる設計が示されています。具体的な算定方法(基準とする給与支給総額の範囲、年平均成長率の計算式、参照する物価安定目標など)と、未達時の返還発動条件・按分ルールは、公募要領の交付規程および該当項目で必ず確認してください。

再申請を検討する場合、以下の論点を社内で先に整理しておくと、計画書の整合性を取りやすくなります。

整理すべき項目 内容
直近3年間の給与支給総額の推移 1人当たり平均で前年比を試算
今後3年間の人件費計画 売上計画と人員計画と整合させる
未達時の返還リスク 返還発動条件と返還範囲は公募要領で確認
賃上げ計画の社内承認 経営層・人事部門・経理部門の合意形成

賃上げ計画は補助金獲得後の運用にも影響するため、申請可否の判断と同時に検討する経営判断です。 補助金の正味メリットを「補助額 − 想定される返還リスク − 人件費増加」で見積もると、再申請の優先順位が変わる場合があります。再申請時のAI導入領域の整理は、適用対象とAI導入で押さえる5つの注意点もあわせて参考にしてください。

対象外となりやすいケースとパソコン単体・汎用機器の扱い

旧IT導入補助金で混乱が多かったのは、汎用機器の単体購入や、登録ITツールに紐づかない経費です。デジタル化・AI導入補助金でも、補助対象は登録されたITツールに紐づく経費が中心で、パソコン単体やタブレット単体の購入はそのままでは対象外となる可能性があります。

対象外となりやすいケースを整理すると、次の通りです。

  • 登録ITツールに紐づかない汎用機器の単体購入
  • 既存のオフィスソフトのバージョンアップだけを目的とした費用
  • ITツールに紐づかない人件費や、申請事業者の自社開発費
  • 補助対象期間外の支出
  • 申請者要件(中小企業・小規模事業者の定義)を満たさない事業者の支出

申請枠ごとに対象経費はカテゴリ(ソフトウェア、オプション、役務、ハードウェア、クラウド利用料など)で区分され、ハードウェアの取り扱いはインボイス枠で他枠と異なります。対象/対象外の最終判断は、必ず該当する申請枠の公募要領と事務局FAQで確認してください。

申請前に確認すべき公式情報チェックリスト

申請の意思決定を進める前に、最低限以下の項目を公式情報で揃えておくと、社内議論が空回りしにくくなります。

  • 該当する申請枠(通常枠・インボイス対応類型・電子取引類型・セキュリティ対策推進枠・複数者連携デジタル化・AI導入枠)
  • 各申請枠の最新の公募要領PDF
  • 補助率と補助上限額・補助下限額
  • 公募スケジュール(交付申請期間、交付決定日、事業実施期間、実績報告期限)
  • ITツール検索で導入候補ツールが登録されているか
  • AI機能搭載ツールとして表示されているか
  • 過去のIT導入補助金交付実績の有無
  • 再申請時の賃上げ要件と未達時の返還ルール
  • 加点項目(成長加速マッチングサービス、省力化ナビなど)の自社該当性
  • GビズIDプライムアカウントとSECURITY ACTIONの準備状況

公募要領、公式FAQ、加点項目一覧は事務局ポータルサイトからダウンロードできます。社内で論点を整理する際、誰が公式情報を確認し、誰が社内データを整理するかを早めに分担しておくと、申請の手戻りを減らせます。

Blackfordのサービスが候補となり得る領域

デジタル化・AI導入補助金は制度として複数の論点が同時に動くため、申請可否の判断と並行して、AI導入やデータ活用のテーマを社内で整理することが現実的です。Blackford Technologiesでは、補助金対象の判定そのものではなく、AI導入の業務テーマ整理やデータ基盤の検討段階で相談を受け付けています。とくに、社内データの統合とAI活用基盤の検討においてはDataRoidが主な相談入口となります。

読者の課題 公式情報で確認すること 社内で整理すること Blackfordに相談できること 関連サービス
社内データをAI活用したい 対象経費、ITツール検索、申請要件 保有データ、利用部署、権限管理 データ基盤・AI活用テーマの整理 DataRoid
クラウド上でAI活用したい クラウド利用料や導入費の扱い 既存クラウド環境、運用体制 クラウドAI基盤の構成検討 DataRoid Cloud
営業データを活用したい CRMや営業支援ツールの対象可否 商談履歴、顧客情報、営業プロセス 営業データ活用の整理 SalesRoid

各サービスは特定の補助金の対象製品であると断定するものではありません。最終的な対象可否は事務局公募要領と申請枠ごとの登録ITツールで確認してください。

Blackford Technologiesは補助金申請の代行、申請書作成支援、採択率向上の支援は行っていません。 AI導入の対象業務整理やデータ活用の相談は可能で、申請実務については提携の専門コンサルタントを紹介できます。あわせて、省力化補助金の観点は省力化補助金(一般型)の対象設備とAI導入で押さえる注意点も参考になります。

よくある質問

IT導入補助金とデジタル化・AI導入補助金は別の制度で、再申請時は何が変わりますか?

別制度ではなく、令和7年度補正予算事業から名称と制度設計を見直した後継制度です。ITツール導入経費の補助、IT導入支援事業者を介した申請、登録ITツールの活用といった基本的な仕組みは引き継がれています。2022〜2025年度に交付決定を受けた事業者の再申請では、3年間の事業計画における賃上げ要件が上乗せされる設計です。算定方法と未達時の取り扱いは公募要領で必ず確認してください。

AI機能搭載ツールに該当しないツールでも申請できますか?

申請できます。AI機能搭載ツールは検索画面で識別できるという仕組みであり、該当しないツールが申請対象外になるわけではありません。採択は申請枠ごとの審査基準、加点項目、事業計画の整合性などで判定されるため、AI機能の有無だけで申請可否や採択結果が決まるわけではありません。

GビズIDの取得期間はどこで確認できますか?

GビズIDプライムアカウントの取得手順と所要期間は、GビズID公式サイトで確認できます。書類の郵送・審査が伴うため、申請スケジュールから逆算して早めに準備することを推奨します。事務処理期間は申請時期によって変動するため、最新情報を公式サイトで確認してください。

パソコン単体やタブレット単体は対象になりますか?

登録ITツールに紐づかない汎用機器の単体購入は、対象外となる可能性があります。インボイス枠など、申請枠によってはハードウェアが対象となるケースもあるため、該当する申請枠の公募要領で対象経費の分類とハードウェアの扱いを確認してください。

AI導入の対象業務が決まっていない段階でもBlackfordに相談できますか?

はい。補助金の申請可否を判断する前に、どの業務でAI導入やデータ活用を検討すべきか整理することが重要です。Blackford Technologiesは申請代行・申請書作成支援・採択率向上支援を行っていませんが、AI導入テーマの整理やデータ活用基盤の相談は可能です。補助金の申請実務そのものは、提携の専門コンサルタント(行政書士・中小企業診断士など)を紹介できます。紹介を受ける前には、対象業務の優先順位、保有データの所在、運用担当者を社内で整理しておくと、初回相談がスムーズになります。

まとめ

IT導入補助金は2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」へ再編され、AI機能搭載ツールの識別、再申請時の賃上げ要件の上乗せ、加点項目の構成が変更されました。基本的な仕組みは引き継がれていますが、申請枠ごとの補助率・補助上限額、対象経費の分類、対象外となりやすい支出は事務局公募要領で必ず確認する必要があります。

過去にIT導入補助金を活用した企業は、賃上げ要件と返還リスクを先に試算し、AI導入や業務データ活用のテーマを社内で整理してから申請枠を選ぶ流れが現実的です。AI導入テーマの整理や社内データ活用については、お問い合わせからご相談ください。補助金申請については、必要に応じて提携の専門コンサルタントの紹介も可能です。

本記事は2026年5月20日時点で確認できた中小企業庁公式ページデジタル化・AI導入支援事業事務局ポータルサイトの公式情報に基づきます。最新の公募要領、対象経費、補助率、締切、採択結果は公式サイトでご確認ください。

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